どきどきするのはしかたない
「どうだ、大丈夫だっただろ?」
「はぁ、…もう、わざわざ危険な事しなくても。七草さんだって、私が暴れでもしてバランスを崩していたら、危なかったんですからね?」
「そうだな」
もう。あっけらかんとしてるなー、もう。
あ、一人なんだろうか。ちょっとキョロキョロした。
「ん?珍しいか?そっちの部屋より広いだけだろ」
キョロキョロの理由は違うけど。
「部屋は間仕切り出来るんですね」
「ん?ああ、そこは溝があるだろ?壁になる板を嵌め込めば、部屋が作れるな」
「へえ…」
見渡した中には人の影は無かった。
「足さ…、痛いと長く立ってご飯作るのって、億劫だろ?だから、だ。面倒臭くてしたく無いだろ」
確かに。…今に限らずですが。
「今日も…今日は簡単に済ませようと思ってました」
課長との約束も無いし…。
「だろ?好き嫌い、大丈夫だよな?」
何を根拠に決めつけてるのでしょう?
「はい、まあ」
「よし、じゃあ、食べよう」
ダイニングに行くと二人分のご飯が並んでいた。
わぁ…美味しそう。でも、これって、初めから私のかな…。
一緒に食べるはずの人が都合悪くなったに違いない。だから、突然声を掛けられたのかも知れない。
「いいんでしょうか…頂いても」
「いいから連れ込んだ」
連れ込んだって…。言葉のチョイスがちょっと…。
「ご自分で作ったんですか?」
向かいの席を勧められたので腰掛けた。
これは誰かに作って貰ったのでは?
「いや、違う」
…やっぱり。では、いつぞや挨拶をしたあの女性が作ったに違いない。