どきどきするのはしかたない
「家政婦さんだ」
か、家政婦?あ、そういう事ね…。表向きはそういう事にしてるんだ。
「では、味は確かですね」
「…どういう意味だ」
「フフ、特に深い意味はありません。頂きま〜す」
「あ。どうせ、俺が照れ隠しに、作ったのは家政婦だとか言って、実際は俺が作ったとしても、こんなに作れるはずが無いと思ったんだろ?」
「はい。和食は難しいですから。余程好きじゃないと料理はしないですよね?…ん、美味しい…」
「まあな。だけど、俺だって料理くらいはする」
「そうですか。あ、この鯵の南蛮漬けも、お酢がマイルドで美味しいですね」
「そうか、美味いなら良かったな」
「はい。この、色んな野菜の、和風っぽいラタトゥイユも、美味しいです」
「そうか。ところで…風邪は治ったのか?」
「え?ゴホッゴホッ。…はぁ。
あ、これはむせたんです」
急に変な事いうから。
「解ってる。薬の要らない風邪だったんだろ?」
…んー、この人は…探りを入れてるのかな…。
答えるのがとても難しい気がする…。
「このご飯が薬になります」
ちょっとずれたかな。意味があると取ってしまったかしら。咄嗟に言ってみただけなんだけど。
「そうか、なら良かった。また一緒に食べればいいさ」
んー、今ので納得したのかな。今の言った風邪って、休んだのは本物の風邪でかって意味だと思うんだけど。…ん?
だから、薬の要らない風邪って聞くって事は、その風邪は嘘なんだろって聞いてるって事よね?…違うかな?あれ?そうなると…。
だけど…、何で嘘だって知ってるんだろ…。
警察に知り合いでも?まさか、あの時…、あのホームに居たとか?
一部始終見てたとか…。
犯人?では無い、カメラの人物と体格が違い過ぎる。
この人…、解らな過ぎる…。