どきどきするのはしかたない
私が七草さんに翻弄され、悪戦苦闘している頃、課長は刑事さんに話を聞かれていた。
防犯カメラに写っている人物は知り合いですね、と。やはり、もう調べはついていて解っていたという事だ。
課長は結婚する相手だった事を話し、私との事も説明した。
有り得ない話だが、共犯では無いですよね、と聞かれたそうだ。
刑事とは、有りとあらゆる可能性を聞くものだとつくづく思った。
二人で私を脅す何の意味があると言うのだろう。
別れたのが私で、私が脅したり揺すったりするなら解る話だけど。私はそんな事まではしない。
そう思えば、私と別れる事は簡単だという事だ。
…課長の結婚相手だった人はプライドが高いと言っていた。
私にこんな事をした。それ程、課長を好きだと言う事だ。…それ程、諦めたくない、嫉妬深く、執念深いと言う事だろうか。
…。
このままだと殺人未遂になるような状況だ。…なるだろう。私はいわば殺されかけたのだから。…殺意は無かったと言ったら?傷害罪との違いは何なんだろう。
いまだ、顔もはっきり知らない相手…。
相手は穏便に示談に応じてくれないかと言って来た。
勿論、連絡をして来たのは代理人だという弁護士だ。
これは事件だ。刑事事件よ?
それを…訳が解らない。被害届を取り下げろという事。高額な金額を一方的に提示してきて、終わりにしようなんて。
応じなかったら金額を吊り上げようとしているとでも思われるのかな。
自分では謝りもしないで…。随分と高圧的なんだ…。
この女性が、今後、また何かしない保障があるのだろうか。
あったとしても無いモノになる…その時もまたお金なんだろうか。
関わりたく無い、二度と私に関わって欲しく無い。
…逮捕されたらいいじゃない。
こんな事を弁護士を立てて申し出て来るくらいだ、何かの力が働いて、事件が事件にならなかった…抑えられていたんだ。だから、自惚れ云々では無く、ニュースにならなかったんだ。
それも、やっぱりお金、親の…権力、か。力のある人には逆らえない…。
こうなったら意地でも正しい処理って出来ないモノなのだろうか。そんな事をしたら、次は恐い人に脅されるのかな。
はぁ…もうどうしたらいいのか解らない。
お金を受け取らされて示談、なんて、…したくない。
それで書類を取り交わすなんて…。
納得がいかない。