どきどきするのはしかたない
ブー。
【痣はどうだ?痛みは無いか?良くなってるか?
今は冷却期間だと思っている。
俺の気持ちは何一つ変わっていない。涼葉の気持ちを尊重したい。
何が大事か、解っているつもりだ。それは消えていないはずだ。だから追い掛け無かった。
そんな俺の事、涼葉は解ってくれていると思うのは俺の甘えかな。待ってるよ、整理がつくまで】
…はぁ。大人だ。考え方の次元が違う。
言いたい事を言いっぱなしで帰って来た私とは大違いだ。
待っているという七草さんを押し出すようにして帰し、服を着ていたところだった。
…はぁ。解ってます。…課長の事は、どんな人か私なりに解ってるつもりです。
意地っ張りになったら絶対素直にならない私の事を課長は解っていると思う。
だから、今の私の心裏も…。
私は都合のいい甘えん坊だから。
迷って解らなくて…、何をしているか…、解ってるんだ。
ベッドに腰掛けたまま、動けなくなってしまった。
隣に行かなかったらまた来ちゃうかな。…来ちゃうよね。
ピンポン。
あ、やっぱり。遅いから呼びに来たんだ。
それでも少しは待ってみたんだ…。
ピンポン。
…ごめんなさい。私、ご飯は、一緒に食べられないです。…もう、本当に我が儘。
「おい」
え゙っ?
「何、人を追い返しておいて寛いでるんだ。もう服着てるじゃないか。
あ、そうか、まだ今から化粧するつもりだったのか」
「お、驚かさないでください…な、に、勝手に入って来てるんですか。
危ないから止めてくださいって言ったのに…。あ、違う。今、ピンポンて。
どうして、こう…勝手に…ずけずけと入って来るんです…」
「ピンポンしただろ。ドアが開いていたからドアからだ。俺を出した後、また鍵して無かっただろ。
…魂が抜けたみたいになって…また抜け殻か。今の間に、何かあったんだろ?来れなくなるような何か。
俺との飯なんて、金の要らない店で食ってると思えばいいんだよ。
…俺との事だって、抜け殻なら抜け殻でいいんだ。構わないって言ったはずだ。
愛徳…、男と女って何だと思ってる…。
好きな相手には本気だ。それ以外無い。それは自分の気持ちの事だ。
遊びはまた別の話だ。
今の愛徳の気持ちは俺には関係無い。
俺は俺で、愛徳に対して本気だというだけだ。
…んん、…。本当は…今は言いたく無かったんだ。
今、言ったところで、愛徳は何も考えられないから。全部放り出して逃げてしまうかも知れない。
だから今は、俺は、愛徳の薬でいいと思っている。…ただの薬だ。今はそれだけでいいんだ。
ま…若干?“薬”の方から積極的に過剰摂取させようとはしてるけどな」
頭に手を置かれた。
「どうする?この様子だと、このまま居たって何も食べずに座り続けるだけだろ?
だったら、折角ある物、無駄にしないでくれないか?行けば後は口に入れるだけだ。
食べ物を粗末にしたくないから、な?」
「…狡い言い方ですね、…」
「ああ。どうとでも言うさ」
「はぁ、本当に狡い…」
「ああ。俺の立場では、攻め始めたら攻め続けないとな。止めたら、終わりだと思われるだろ?」
「……もう、…」
「化粧とかいいから。直ぐに来いよ。暫く待って来なかったらまた来るぞ」
「…解りました」
化粧なんて、最初からするつもりも無い。
だけど、戻って待ってるって…、強引に引っ張って行こうとはしなかった…。
【課長、私にも冷却期間、頭を冷やす時間をください】
【解ってる。だけど、期待はして待ってる】
ふぅ…課長も狡いな。