どきどきするのはしかたない
…え、…はっ?!あ…そうよ、そうだった。
だけど、これって何だか……とんでも無い事になっている…。
すっかり忘れていたのだけれど、お給料日に必要なだけATMでお金を下ろしたら、明細書の残高が目を疑うような桁数になっていた。
驚いてしまった…。人生でこんな預金残高は経験したことがない…。
下ろした現金もしまわないまま、その場で立ち尽くしていたら、取り忘れと判断して鳴り始めるし、後ろからは、まだ?みたいに見られてて。
変な汗が一気に吹き出した。すみません、と声をかけ、慌ててお金を取り出した。
財布にしまいながらもまだ眺めていた。
この残高って…これって間違いなく、…示談金よね?多分。今は持っていないから後で落ち着いて通帳を記帳して見なくちゃ。多分、弁護士さんの名前で振込みされていると思うけど。
…一般人が突然大金を手にすると挙動不審になる。それを身を持って実感した。
現物を手にしている訳では無いから、誰もこの動揺は解らないだろうけど、急にドキドキが止まらない。
このお金は使わない。返したいくらいの気持ちだ。だって、お金が欲しくて応じたんじゃ無い。私に何かあったら嫌だからという、課長の気持ちに応えただけだから。
示談は終わりましたと伝え、今は冷却期間というか、私の頭を冷やす時間として連絡も取って無いのだけど。
課長とは今まで頻繁に連絡をした事なんてなかったのに。一応ここまで終わって事件は決着…本当の終わりだもんね。
この事の連絡なら、しても構わないだろう。むしろ、報告は必要だと思った。
【相手方から示談金の振り込みがありました。一応、ご報告をしておきます】
…ふぅ。これでは業務連絡と変わらない。
でも、気になるかも知れないからしておいた方がいい。