俺様室長は愛する人を閉じ込めたい~蜜愛同居~
「悪かった。でも、言うタイミングをずっと考えてたんだ。どうしたら塔子に断られないかってずっと考えてた。こんな風に話すつもりはなかった」

「え……?」


「でも、その涙は俺の求めている答えをくれるって思っていい?」
大輔は真面目な表情で、小さく息は吐くとそっと塔子の両手を握りしめ、真っすぐに塔子を見つめた。


「塔子、俺と一緒にアメリカに行ってくれないか?」

「え?」
塔子は訳がわからず、大輔を見た。



「塔子と一緒にニューヨークに行きたい。塔子と離れたくない」

塔子はあまりにも驚いて声が出なかった。


しばらく呆然と大輔の顔を見ていた。

「ダメ?」
もう一度、弱々しく聞かれた大輔の言葉に思わず吹き出した。

(こんな時に子犬だいちゃん……)

涙を拭いながらクスクス笑った。

「塔子……?」

「一緒に行きたいです。あなたと。私も行けるの?無理なら仕事を辞めても私は一緒に行きたいよ」

その言葉に大輔はゆっくりと満面の笑みを浮かべると「ありがとう」と呟いた。

「いや!異動だよ!異動。辞めてもらったら困る。こうなると思ってたからもう辞令をだす準備はできてるんだから」
誠の少し焦ったような言葉に、
「副社長、ありがとうございます」
ゆっくりと涙を指で拭ううと、笑みを浮かべた。
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