俺様室長は愛する人を閉じ込めたい~蜜愛同居~
「片桐さん、正式に今日部長から話があると思います。来年の4月からニューヨーク本社にしばらく行ってほしいんです。千堂と一緒に。どういう形で行くかは二人の好きにしていいよ」
誠はにこやかに最後は小声で言うと、意味ありげな笑みを浮かべた?

「え?」
その意味がわからずポカンとする塔子をよそに、
「おい!その話はまた後でいいよ」

周りのギャラリーの騒然とした様子に、大輔は咳ばらいをすると誠に声を掛けた。

「お前が、こんなところで始めたんだろ?」
誠は少し怪訝そうな顔をしたが、

「よかったな」
と柔らかな微笑みを二人に向けた。

「塔子」
真面目な声で呼ばれ、塔子は大輔を見上げた。

「こんな形で言いたくなかったけど、もう塔子のこと隠したくない。そしてこんな事でまた、すれ違って塔子を失うなら、俺はみんなの前で言うよ。俺と一緒にニューヨークに行こう」
大輔は真面目な瞳を塔子に向けた。


「最後に確認します。片桐さん、この辞令引き受けてくれますか?」

誠がにこやかに声を掛けた。


「はい。よろしくお願いします」
塔子は、涙の溜まった瞳で大輔と誠に微笑んだ。

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