俺様室長は愛する人を閉じ込めたい~蜜愛同居~
『キャー!』
『ウソー!』
悲鳴がしばらく飛び交った。



それからしばらくは、塔子の周りは騒がしかった。

「塔子さん、千堂室長といつのまに……。あーあ、これで残る有望株はもう少ないですよ……。新しい専務と、海外事業部の樋口晃主任ぐらいかな……」
その由美子の言葉に塔子は苦笑した。

「ごめんね、隠してて」
塔子が申し訳なさそうな表情を浮かべると

「いいですよ!塔子さんが幸せなら!それよりも寂しいです。ニューヨークなんて……」
抱きついてきた由美子に、塔子もギュッと抱きしめた。

「ありがとね」
そっと由美子から離れると、塔子は柔らかな微笑みを向けた。



「塔子」

その日の帰りのエントランスで、優しく聞こえた声に塔子は振り向いた。

「晃……」
告白を断ってからも、大きく変わった様子を見せなかった晃だったが、少し距離を感じていたことも事実だった。

「聞いたぞ。今日の事」
クスリと笑って言った晃に、塔子は恥ずかしそうに俯いた。

「本当にどうかしてたよ……」
「まあな、いつもの冷静な塔子があんなことすればみんなびっくりするよ。ましてや相手はあの千堂室長って」

「そうだよね……」
呟くように言った塔子は、ふと無言になった晃をチラリと見上げた。

「よかったな。塔子。幸せになれよ」
そっと出された右手に塔子も右手を重ねた。

「握手じゃなく塔子と手を繋ぎたかったけど……その役目は俺じゃなかったってことだな」
「晃……」

悲し気に曇った塔子の表情を見て、晃は笑うと、
「最後に少しだけ意地悪を言いたかっただけだよ。俺は大丈夫だから、お前も体に気を付けて頑張れよ。まあ、いつでも戻って来いよ。ただし俺には相手がいるかもしれないけどな。お前よりいい女が」

最後まで優しい晃の言葉にや「、塔子は涙が溢れそうになるのをなんとかこらえると、精一杯の笑顔を晃に向けた。


「ありがとう」

塔子の言葉に、晃は手を離すと「じゃあな」そう言うと塔子の横をスッと通り過ぎると夜の街へと消えて行った。



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