特別な君のために
なるみは残りの飴玉を口の中に放り込みながら、話を続けた。
「家族は選べないけれど、友達は選べるもん。……でも、私はあのお父さんの子で良かったって、今は思えるんだ。お父さんの失敗を繰り返さないために、潰れる心配のない、安定した仕事に就きたいの」
「私も、千春がいてくれたからこそ、色んなことを考えられるようになったんだと思うし、進路もすっごく考えたよ」
お互い、うんうん、と首を縦に振って、それから顔を見合わせて笑った。
「ねえ、私と美冬って、結構似てるよね」
「うん、似てるね」
「別々の大学に行くけど、ずっと繋がっていようね」
「もちろん」
「時々ネガティブスイッチ入っちゃう私だけど、それでも許してくれる?」
「それもお互い様でしょ。私も連休中、ものすごくネガティブだったじゃない」
「あ~、骨折したときのことね。でも、見事に立ち直ったじゃない。あれは奏多先輩のお蔭だと思うけど……」
意味ありげに私の顔を覗き込むのはやめて欲しいんだけど。