特別な君のために

なるみは残りの飴玉を口の中に放り込みながら、話を続けた。

「家族は選べないけれど、友達は選べるもん。……でも、私はあのお父さんの子で良かったって、今は思えるんだ。お父さんの失敗を繰り返さないために、潰れる心配のない、安定した仕事に就きたいの」

「私も、千春がいてくれたからこそ、色んなことを考えられるようになったんだと思うし、進路もすっごく考えたよ」

お互い、うんうん、と首を縦に振って、それから顔を見合わせて笑った。


「ねえ、私と美冬って、結構似てるよね」

「うん、似てるね」

「別々の大学に行くけど、ずっと繋がっていようね」

「もちろん」

「時々ネガティブスイッチ入っちゃう私だけど、それでも許してくれる?」

「それもお互い様でしょ。私も連休中、ものすごくネガティブだったじゃない」

「あ~、骨折したときのことね。でも、見事に立ち直ったじゃない。あれは奏多先輩のお蔭だと思うけど……」

意味ありげに私の顔を覗き込むのはやめて欲しいんだけど。
< 106 / 179 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop