特別な君のために
ホテルの部屋からかすかに見えるスカイツリーを見て、一枚撮ったものを添付する。
——でも、スカイツリーが見えます。ほら!
『おー、いい部屋だな。せっかくだから、スカイツリーをバックに自撮りすればいいのに』
それもそうだと思い、早速一枚撮ってみた。
——撮りました~。家族に送ります。
『俺にも送って』
——本気ですか?
『本気。待ってる』
ウインクしたカエルのスタンプが届いた。
そうだ、だったらこの子達と一緒に撮ろう。
スーツケースから、五匹のカエルを取り出す。
お守りとして連れてきたカエル達に勇気をもらって、歌いに行く予定だった。
彼ら全員を片手で抱っこして、自撮りに挑戦。
カエルの兵隊と私とスカイツリー、全てが映るように撮るのはなかなか難しかったけれど。
——ひとりじゃないので、心強いです。ね?
『めっちゃ賑やかだな。俺も混ざりたい』
——今度混ぜてあげますね。
『本気にするぞ』
——私はいつだって本気です。
その後、しばらく返信が途絶えた。
ようやく奏多先輩からメッセージが届いたのは、翌朝の会場内でだった。
『応援してる。本気で頑張れ。俺も本気で向き合う』