特別な君のために
私達の目の前のテーブルには、お茶と食後のデザートである、デラウェアがある。
そこに、お父さんが持ってきたタブレットPCが加わり、聞く体制はバッチリ、といったところだろうか。
私も意を決して話し始める。
「私、自分が何をやりたいのか、まだよくわからないの。ただ、はっきりしていることはひとつ」
これを告げたら、きっと両親は『そんなこと考えなくてもいいから』なんて言うのだろう。でも、この家に生まれた私の運命だから。
甘んじて受け入れるのではなく、積極的に受け止めてみよう。
お茶を一口飲んでから、話を続ける。
「私は自分が幸せになるために働く。それが千春の幸せにもつながるように。お父さんとお母さんが天国に行ってからも、私達が幸せに暮らせる方法を学べる大学へ行くことに決めたの」
お父さんと、お母さんが、そっと顔を見合わせた。
きっと、二人とも心の中で色々考えているのだろう。
しいんとしたリビングで、また私はお茶を口に運ぶ。