その笑顔が見たい

そんなおしゃべりだったかな、俺。
葉月のことを話したくなる時があるのは確かだ。
酒が入ると特に。
今の俺には葉月を話題にしている時だけ葉月と繋がっているように思えるから。
しかし、誰彼構わず話すわけにもいかず、桜木に言ってしまってるんだろうな。
聡には葉月への気持ちをいうのはためらいがあるから。


「翔ちんはさ、はーちゃんと離れ離れになって心が当時に置き去りになってるんじゃない?」


「お前がはーちゃんっていうな」


「だってはーちゃんとしか知らないもん」


「葉月」


「葉月?」


「呼び捨てにするな」


「もう、めんどくさいなー」


そう言いながらもにこやかに酒を飲んでいる桜木が何かを思い出したように勢いよくグラスを置いた。


「ねっ、今、葉月って言った?」


「だから呼び捨てにすんなよ」


「あの子も葉月ちゃんだった」


「誰?」


「カレーにトンカツをおまけしてくれた子」


「お前…名前聞いたのか?」


「うん、片付ける時にいたから君の名は?って映画のタイトルみたいに聞いちゃった」


「それで教えてもらったの?」


「ううん、ビックリしてた」


「だろうな」


「でもID見えててさ、名前わかっちゃった」


「盗み見したのか?」


「ちゃんと見てるよーってアピールして見たけど隠さなかったよ」


「桜木じゃなかったら変態行為だな」


この男は愛らしい見た目と、軽いキャラでちょっとしたことでも許される場合がある。



< 45 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop