その笑顔が見たい
「ちょっと、どこ行くの」

「話ができるところ」

「待って、待って!私、これから用事がある」

思いもしない言葉だった。その言葉に反応して立ち止まる。


「まさか、これからどこかへ出かけるのか?」


「会社に戻るの」


「あっ?派遣会社?」


「うん、社長と約束がある」


聡の言葉を思い出す。


『派遣会社の社長が葉月のこと可愛がってくれてるっていうしさ、結婚でもするかもなー、むしろして欲しいなぁ。葉月だっていい歳だし』


「急ぎなの?」

行かせたくない。
葉月と社長がどう言う関係か知らないが、まだ間に合うなら、葉月を自分のものにしたい。


「…」

沈黙の後、葉月は小さく首を横に振った。





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