その笑顔が見たい
会計が終わって店から出てくるタイミングで葉月は電話を終わらせた。
「誰?」
わかっているくせに聞く俺はちっちゃい。
「あ、会社の社長。約束していたのに連絡入れなかったから心配してた」
「そう、もう大丈夫?」
「うん、明日でいいってー」
弾むように喋る葉月が気に入らなくて、コンビニ袋とカバンを片手に持ち、もう片方の手は葉月の手を握った。
「翔ちゃん?」
葉月が覗き込む。
「何?」
何ってなんだよと我ながら意味不明。
「…ううん」
少し照れ臭そうに顔を赤らめた葉月はそれ以上、何も言わなかった。