王様と私のただならぬ関係
「あ、改めて訊かれると答えづらいですね」
と上目遣いに見て言うと、今度こそ、ほんとに笑った気がした。

 秀人の手が自分の背に触れる。

 そのまま、抱き寄せ、口づけてきた。

「今日は怒らないか?」
と囁くように訊いてくる。

 かっ、顔近い、顔近いっ、と動転して、頭が真っ白になりながらも、これだけは言っておかなければ、と思って言葉を押し出す。

「あ、貴方が貴方の意志でするのなら、怒らないことにしましたっ」

 そうか、と秀人は言う。

 秀人は手をつないできた。

「俺がつなぎたいからつなぐ」
「……はい」

「キスしたいからする。

 お前と――」

「待ってください」
とエスカレートしそうな秀人を止めた。

「あのー、望んだら、なにをしてもいいってわけじゃないですからね」
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