王様と私のただならぬ関係
 迷宮入りだ、と思ったとき、
「お待たせしましたー」
と、そんなに持って大丈夫ですかっ!? という感じに両手で鉄板を持って店員さんが現れた。

 秀人はカリカリのニンニクスライスののったチキンステーキだ。

 うーん、と明日香は鼻先に湯気とともに来る料理の匂いを嗅いだ。

 じゅわじゅわの肉汁たっぷりのハンバーグ。

 切ると、中からトロトロのチーズが鉄板の上に音を立てながら、あふれてくる。

 うーん。
 侮りがたしっ、ファミレスッ。

 と思いながら、食べていると、例のケーキのおばあちゃんの話になった。

「そういえば、おばあちゃん、ハタも織るんですよ」

「……なんだって?」

「ハタを織るんですよ」
と繰り返すと、

「障子の向こうでか」
と言われた。

「すみません。
 おばあちゃんち、洋館なんですけど……」

「ハタを織るのは、鶴だけかと思ってた」
と秀人は大真面目に言ってくるが。

 まあ、これは秀人だけを責められないかなと思っていた。
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