王様と私のただならぬ関係
 



 うーむ。
 結局、此処になってしまったかーと思ってしまったのだが、メニューを見ると、安い価格でいろいろ選べて、ドキドキするな、と明日香は思っていた。

 もう此処まで来たのだから、今更帰れとは言わないだろう。

 もう食べたので、デザートだけで、と白状しようかと思っていたのだが。

 周りから食欲をそそる匂いがしてくるので、つい、チーズハンバーグを頼んでしまった。

 騒がしげで楽しげな店内を見回し、
「なんだか久しぶりに来ました」
と言うと、

「大学のときとか来てたんじゃないのか。
 部活とかで」
と言われる。

「あっ、そうですね。
 みんなよく食べるから、こういうところの方が……」

「如月とか」
と秀人は、明日香のセリフにかぶせるように言ってくる。

 相変わらず、淡々とした口調だけど。

 ……もしかして、ちょっと妬いてます? と思いながら、表情を窺ったが。

 相変わらず、なにを考えているのか読めない。
< 208 / 298 >

この作品をシェア

pagetop