王様と私のただならぬ関係
 エントランスに入ったところで、こちらを振り向いたが、やはり、ぺこりと頭を下げただけで、入って行ってしまった。

 ……やっぱり上がってってください、とは言わないか、と思いながら見送る。

 下からしばらく見ていると、明日香の部屋の灯りがついた。

 明日香が窓を開け、手を振る。

 振り返しながらも、早く閉めるんだ、と思っていた。

 何処から変質者が現れるかわからないじゃないか。

 いや、木などは届かないような高さだが、なにがあるかわからない。

 明日香はそこから自分が帰るまで見送るつもりのようだった。

 なので、電話をかけて言う。

「明日香。
 もう閉めろ、物騒だから。

 帰ったら電話するから」

『はい。
 じゃあ、おやすみなさい』
と言って、明日香は戸を閉めた。

「雨戸も閉めて」

『雨戸、ありません』

「じゃあ、そのロールカーテン閉めろ。
 全部の部屋のだぞ、おやすみ」

 明日香は少し笑ったようだった。
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