王様と私のただならぬ関係


 


 秀人に言われてカーテンを閉めた明日香は、戸締まりをしながら、秀人から電話がかかるのを待っていた。

 玄関を閉めて、チラ、とリビングのテーブルの上のスマホを見、キッチンの火の元を確認して、また、チラ、と見る。

 ……遅いな、と思いながら、寝室に移動して、ベッドに腰掛け、側に置いたスマホを見つめた。

 まだかな。

 待ってる間に、寝ちゃったら、どうしよう。

 今日は調子に乗って食べまくってしまったので、満腹で眠い。

 明日香は、寝てしまわないよう、布団に入らずに、スマホを見張っていた。

 座ったまま、静かに待っていると、やがてスマホが鳴った。

 あわわわわ。

 ななななっ、鳴ったっ! と鳴って当たり前なのに、慌てふためき、掴みかけたスマホを落としそうになる。

 ひーっ。

 どっかに画面がぶつかって、切れたらどうしようっ。

 なんとかキャッチした手の中で、スマホが震えながら鳴っている。
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