イジワル副社長の溺愛にタジタジです
「車が来るまであと何分だ?」


腕時計を確認すると、十三時半。


「三十分です」

「もう一度売場に行くぞ」


再び舞い戻った化粧品フロアは、今度はにぎわっていた。
ドゥシャインのブースにも何人ものお客さまが立ち寄っている。

その中に、ひときわ大きな体のお客さまがいた。
きれいにファンデーションが塗られているものの、ちょっと口紅が濃すぎて不自然な気もする。

いや、その前に、もっと不自然なのは、そのお客さまが間違いなく男の人だからだ。


「少し手伝っていくか」

「えっ? ……はい」


私は、そもそもカウンターにいたからすぐにでも対応できるけれど、本城さんにできることなんてあるの?

そう思いつつも、私は取れてしまったグロスの代わりに、彼が推すと言っていた口紅のサンプルを借りてつけ直した。
ブースに立つ美容部員がきちんと化粧できていないのは、もっての他だからだ。


その間、本城さんはさっきの大きな体のお客さまに近づいていく。
どうやらその人は常連らしく、彼はカルテに一瞬視線を落として声をかける。


「早乙女(さおとめ)さまですね。いつもありがとうございます」

「あらー、いい男じゃない?」


やっぱり男の人だ。
声が野太い。
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