お菓子の城


全国の銘菓展を早足で回る。ここでお土産が買えるわけじゃないし、あくまで展示だ。それに__。

「次、四国」

振り返ってそれだけ言った。

まだ東海エリアにいた父が小走りでやってくる。

あゝ、爽快。

そして四国に父を残し、私は九州へと旅立つのだ。

今、旅の主導権、すなわち「絶対」を握っているのはこの私。いくら早朝の散歩で足腰を鍛えているとはいえ、親子の年の差は埋まりはしない。体力では負けない。

半ば逃げるように最後の沖縄に漂流すると、息を切らした父が追いかけてくる。

なんて意地が悪いのだろう?親を労わり、感謝し、敬う心が欠けているって?

それなら言わせてもらう。

我が子を守り、育て、生きることは何たるかを身を持って教えてくれたのは母だ。

この人じゃない。

私はなにも、この人から教えてもらってはいない。



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