キミと秘密の交換恋日記
だってアレイの言葉が本気に聞こえるんだもん。わたしは冗談のつもりで言ったのに。

「アッ、アレイって妹がいるの?」

言葉に迷ってアレイにそんなことを言ってしまう。

アレイに妹がいても、兄がいてもわたしには関係ないことだけど。

「う~ん。妹はいないけど姪っ子がよく家に来るんだよ。妹みたいに可愛いんだ。」

アレイが幸せそうな表情でわたしの質問にそう答える。

びっくりしたぁ~。アレイに本当に妹がいていつも妹と遊んであげてるお兄ちゃんだと思った。

そんなことを考えてわたしはアレイの横で手を自分の胸に当て大きく深呼吸する。

わたしの変な行動に暗闇の中であまりわたしの様子が見えなくても、アレイは笑っているだろう。

声は聞こえなくてもきっと心の中で笑っているだろう。

わたしとアレイが灯りのない道を迷わず歩けているのは多分、アレイの目が暗いところでも大丈夫なようになっているからだろう。

不安になることがないのは多分、アレイがわたしの隣にいてくれるからだろう。

わたしはわたしの右を歩いているアレイを見上げて微笑んだ。

わたしの目に映るのはわたしよりもずっと背の高い男の人の影だ。
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