空の色をおしえて


自由時間になるとすぐ、隼人君を探すため校内をあてもなく歩き回った。

こうしてじっくりと見たら、どのクラスも趣向を凝らしてとても楽しそうだ。

お化け屋敷に駄菓子屋、人力のジェットコースターなんてものもある。 

準備期間には自分のことばっかりで、周りが見えてなかったってことかな。




しばらくうろついていると、『縁日』というボードを持って数人の男子と宣伝をしてる隼人君を発見した。

頭にはクマのお面を斜めにつけて、すごく似合っていてかわいい。

よく見ると、他校の女の子に写真をせがまれて断っているところのようだった。


隼人君てば心底困った顔しちゃって。
そういえば昔から女の子に囲まれるの苦手だったもんね。

その困ったような笑顔が、女の子たちには爽やかスマイルにでも見えているのか、なかなか解放してくれないみたいだ。

しばらく待って、女の子たちがいなくなった頃合いを見計らって声をかけた。
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