春が来たら、桜の花びら降らせてね
「でも、これで夏樹の本気がわかったから、俺は満足だ」
「琉生……」
「何が過去にあったかは知らない、ただ、俺たちが生きているのは過去じゃない。今を大切にしろよ」
「……胸が痛ぇよ、琉生の言葉は」
夏樹君は苦笑いしながら琉生君と軽く拳を突き合わした。
男の子の青春は汗だくで、時々バカらしくも見えるけど、熱くて本当に美しい。
そんなふたりを眩しい思いで見つめていると、琉生君が私の目の前に立つ。
琉生君……。
私、ちゃんと琉生君は友達だって言わなくちゃ。
そう思って口を開いた時だった。
「今回は夏樹に免じて、身を引く。だけど、夏樹が冬菜ちゃんを傷つけるようなら、俺も本気でさらうから」
「っ……!」
琉生君はそう言ってフッと笑うと、断る暇さえ与えずにクラスへと戻って行く。
その姿は潔いようで、答えを言わせてくれないところは意地悪だなとも思った。
でも、こんな私に想いを寄せてくれたこと、それは素直に嬉しい。
私は遠ざかる琉生君の背中に口パクで『ありがとう』と言う。
想いに応えられないことに、ごめんなさいより、好きになってくれてありがとうの方が、今の私の気持ちにしっくりときたからだ。