春が来たら、桜の花びら降らせてね
だけど、私は強欲にも夏樹君のことばかりが気になってしまっている。
君と目が合うだけで世界の透明度が増して、キラキラと輝く。
君のことを考えると抑えきれないほど胸がドキドキして、ワクワクする。
君に会えない日は息ができないほどに切なくて、苦しくって。
君の笑顔が見られると、世界一幸せだと思う。
この感情に名前をつけるのは、難しい。
他の誰にも抱いたことのない、型にあてはまらない感情だった。
「やるじゃん夏樹」
「さっすがー、冬菜ちゃんへの愛かなぁ?ま、琴子の誠ちゃんへの愛には負けるけどねっ」
「琴ちゃん、俺の方が琴ちゃんのこと愛してるよ」
「やーん!誠ちゃん、好きーっ!」
私たちを置いてきぼりに、盛り上がるバカップル。
ただ、そんな騒がしさが私の中の日常になっていて、なにひとつ持っていなかった私にとってはかけがえのない宝物に思えた。