春が来たら、桜の花びら降らせてね
「……俺……」
また、悲しそうな顔。
夏樹君が、ふと見せる表情だった。
それを、今は私がさせてしまったのだと思うと、罪悪感に胸が軋むような痛みを主張してくる。
夏樹君が私に優しくする理由、それが夏樹君の笑顔を曇らせている原因だと、なんとなくわかった。
「夏樹君、私ね……話せないことがすごく怖い」
「え……?」
なら私が今、君にできることは、夏樹君が自分のことを話せるように、まず自分のことを話すことだ。
それがどれだけの苦痛を伴うものだとしても、君のためなら傷ついてもいいとさえ思う。
だって、君が私にくれたモノに比べたら、この痛みなんて夜空に輝く星一つ分にもならない。
それほどまでに、君がくれた〝居場所〟というのは私の中で大きなモノだった。
「昔は、それもしょうがないことなのかなって思って、なにもかも諦めて、生きてることさえ無意味だと思ったりもした」
「っ……それは、今も同じか?」
夏樹君の目には、切望が映っていた。
夏樹君がどんな答えを私に求めているのかはわからないけれど、私は笑みを浮かべて首を横に振った。