春が来たら、桜の花びら降らせてね
「俺はその時小学生だったから、まさか病気だなんて知らなくて、照れ隠しにその子の悪口を言っちまった」
「そう……」
小学生じゃ、わからないだろうな。
そして、その子もきっと……どうして自分だけが話せないのかって、悩んだんだろう。
たくさんたくさん、自分を責めたんだろう。
会ったこともないその子に、私は自分の心情を重ねて泣きそうになった。
「そうしたら、クラス全員でその子が喋らないことをからかうようになって、最初はぎこちなくだけど笑ってたのに、どんどん表情も無くなっていった」
「……そうだったんだ……」
私にはわかる、その子は諦めたんだ、きっと。
理解されようと努力しても、無駄だと気づいてしまったから。
私と同じ……望まないという選択をした。
ボロボロの心を守るために、世界を閉ざしたんだろう。
その方が、確実に痛みは減るから。
不確かな希望を信じるより、ずっと楽だから。