春が来たら、桜の花びら降らせてね

「俺はその時小学生だったから、まさか病気だなんて知らなくて、照れ隠しにその子の悪口を言っちまった」

「そう……」

小学生じゃ、わからないだろうな。
そして、その子もきっと……どうして自分だけが話せないのかって、悩んだんだろう。

たくさんたくさん、自分を責めたんだろう。
会ったこともないその子に、私は自分の心情を重ねて泣きそうになった。

「そうしたら、クラス全員でその子が喋らないことをからかうようになって、最初はぎこちなくだけど笑ってたのに、どんどん表情も無くなっていった」

「……そうだったんだ……」

私にはわかる、その子は諦めたんだ、きっと。
理解されようと努力しても、無駄だと気づいてしまったから。

私と同じ……望まないという選択をした。
ボロボロの心を守るために、世界を閉ざしたんだろう。

その方が、確実に痛みは減るから。
不確かな希望を信じるより、ずっと楽だから。

< 111 / 277 >

この作品をシェア

pagetop