春が来たら、桜の花びら降らせてね

「俺は、とんでもないことをしたんだって、気づいた」

夏樹君はきっと、罪の意識に囚われているんだろうな。

好きな人を孤独にしてしまったと、ずっと責めている。

そういった後悔や傷は、しぶとく心の奥底に根を張るように居座って、時々苦しめるから、やっかいだ。

「だけど、みんなの前であの子を庇う勇気も無かった。俺はクラスでハブかれんのが嫌だったんだよ、最低だろ?」

自嘲的に笑う夏樹君は傷だらけで、言葉をかけることをためらってしまった。

何を言っても、夏樹君を傷つけてしまいそうで、怖い。

でも、孤独を恐れるのは当然のことだと私は思う。

なんて、最近まではそんな群れにこだわる人たちを、私は弱虫だと思っていた。

けれど、夏樹君に出会って考え方が変わった。

友達と呼べる人たちが出来て気づいた。
利益以外の繋がりもあるんだと。

私はみんなに貰ってばかりで、なにもあげられないのに、みんなはそんな私を守ろうとしてくれる。

心で繋がることができることを知った。
だからこそ、もう孤独になりたくないと思う。

だって、笑顔が向けられることがこんなにも温かくて、帰る居場所があることがこんなにも心強いことを知ったから。
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