春が来たら、桜の花びら降らせてね
「俺、夏樹と走順、同じにしてもらうから、俺が勝ったら……冬菜ちゃん、俺と日曜日にデートしてくれないか」
「っ……え?」
デートって……琉生君、何言ってるの?
唐突な話に、脳天に手刀を一撃食らったかのような気分だった。
第一に、琉生君が私をデートに誘う理由に思い当たる節がない。
そこで、私をからかって笑いのネタにするつもりかもしれないと考えてしまう私は、最低だなと自己嫌悪に陥る。
「俺、冬菜ちゃんが、俺の怪我に絆創膏を貼ってくれた時から、君のことが気になってたんだ。だから、俺はもっと君に近づきたい」
絆創膏って……あ!
思い出した、夏樹君にペットショップに連れて行ってもらった日のことだ。
琉生君はあの時、指を怪我していたから、私はとっさに絆創膏を貼ってあげたのだ。
今思い返すと馴れ馴れしいし、大胆な行動だったなと反省する。
でも、こんな、まともに話せない私なんかのことを、たったあれだけのことで気になったりするだろうか。
恋なんて、生まれてこの方したことがない。
好きなんて気持ち、家族以外に向けたことなんて一度もなかった。