春が来たら、桜の花びら降らせてね
「「夏樹、がんばれ!」」
声をそろえて、夏樹君の肩を叩く誠くんと琴子ちゃんに、夏樹君は「痛ぇーよ!」と言いながらも嬉しそうだった。
私は、何を言ったらいいだろう。
今は携帯もないし、どうやって伝えればいいのか、うーんと頭を悩ませていると……。
「冬菜、お願いがあんだけど……いいか?」
「っう……ん?」
夏樹君がそう声をかけてきた。
私は話しかけるきっかけをもらえてラッキーだと思いながら、夏樹君のお願いがなんなのかが気にかかっていた。
知らず知らずのうちに首を傾げていた私の右手を、夏樹君の大きな手が握る。
それに驚くより先に、夏樹君が先に口を開いた。
「勝てって、言ってくれ」
「あ……」
「冬菜が願ってくれたら俺、ぜってー負けねぇから」
強い意志を感じさせる瞳が、私を真っすぐに射貫く。
私は言葉の代わりに頷いて、その手をギュッと握り返した。
勝って、負けないで。
私は夏樹君のことを応援してる。
誰よりも君が、悲しむ結果にならなければいい。
それだけを心から願ってるんだと、そんな気持ちを込めて頷いて見せた。