私の二人の神様へ







 それから、一言二言話ながら榊田君は本を読み、私はパソコンをしていた。
ちらりと榊田君を見る。


 彼はつまらなそうな顔しながら私の教科書を読んでいる。


 どんな本もそんな顔して読んでいるけど、本が大好きなのだろう。


 私はパソコンの電源を切り、榊田君の観察を始めた。


 榊田君は人に見られるのが慣れているから、じっと見てても何も言わない。


 仁くんの場合は、私が見ていると、甘えたいのサインと受け取って、いつも遊んでくれた。


 榊田君は話かけなければ、そのまま本を読み続けるから、観察ができるのだ。


 本当に芸術品のような顔立ちをしている。


 さしずめ、氷の彫刻だろうか?


 切れ長な目に、黒い瞳は相手を一瞬で凍てつかせてしまいそうだ。


 実際は、綺麗な形をしている口から発する、シャレにならない恐ろしい言動で凍らせているけど。


 鼻筋はもちろん通っているし、肌に影を落とす長いまつげも彼の色っぽさを際立たせるのに一躍かっている。


 そう、こんな綺麗な榊田君にもコンプレックスがあるのだ。


 しかも、仁くんと同じ。


 それが白く透き通った肌だ。


 二人とも、それが大層嫌らしく、いつも貶し合っている。


 女みたいな肌をしてと。


 仁くんは私と同じで焼けない体質。


 榊田君はそういう体質かはわからないけど、夏は外に出ないからだ。






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