私の二人の神様へ
日が落ちてから出かけるか,はたまた昼間に出かける時は日陰をひたすら歩き、帽子を目深に被るほど、夏が苦手なのだ。
体質の俺より、夏がまったくダメなお前のほうが、なよなよしい、と仁くんに言われて返す言葉がなかった榊田君は余計に肌の白さを言われると、不機嫌になる。
彼の魅力を際立たせる肌なのに、とそんなことを思いながら眺めていると、彼が唇を舐めた。
ドキッといきなり心臓が音を立て、身体が熱くなる。
そういえば、ずっとキスしてないな。
毎日、口付けをしていた日々が遠い昔のようだ。
久しぶりに二人きりでいるのだから、キスをして抱きしめて欲しい。
だけど、それを頼むのは、恥ずかしい。
女なのにはしたないとか思われてしまうだろうか?
その前に、キスだけをねだるなんて呆れられるか。
私は榊田君を受け入れられないのに。
「おい。一人で何百面相してんだ?」
「へっ!?」
いきなり声をかけられて手元にあったクッションを抱えた。
「恥ずかしそうな顔をしたと思ったら、しょぼくれたり。気味が悪い」
そこまで、言わなくと良いと思う。
私は尖らせた唇をクッションで隠し、俯いた。
「ごめんなさい。何でもないから」
「気になる。言え」
「やだ」
上目遣いに榊田君を睨み付けた。
「言え。これは頼みごとじゃなく、命令だ」
本当に偉そうな榊田君。