私の二人の神様へ
それから、うんうん唸りながらもいつの間にか眠っていた。
次に目を開けた時には暗闇。
とは言っても、遮光カーテンだし、窓が少ないから常に真っ暗だけど。
時計を見ると、午後六時十二分。
その時、ちょうどドアが開いた。
「具合はどう?まったく、あんたは本当に間の悪い子ねぇ~」
「……お母ざん」
そこで、カラカラに乾いた喉から咳が出た。
う~、空咳は喉が痛くなる。
「今まで瀬戸さんがいてくれたのよ。ちゃんとお礼しなさい。俊君にもね。しかし、瀬戸さんってお淑やかで美人さんね~あんな子が近くにいるのに、小春なんて。俊君も趣味が悪いわ~」
弱っている娘にも容赦なし、反論する気力もないし、そんなのはどうでもいいほどに、気になった。
カラカラな喉なのに、手渡されたオレンジジュースを飲む時間すら惜しい。
「な、なまえ、どうなった?」
「仁君のあんな顔はじめて見たわ。すごく気に食わないような、すごく嬉しいような微妙な顔」
お母さんは思い出したのか、くすくす笑った。
「結局、仁君と俊君の紙飛行機がベッドに届いたんだけど。仁君のは足元、俊君のは身体のど真ん中に落ちてね」
榊田君が勝った!?
「『あかり』で決まりよ。まぁ。良い名前付けたじゃない。みんな満足よ。仁君だけ、微妙な顔」
榊田君が絶対やってくれると思っていた。
彼に直接礼を言わなければ。
「榊田君は?」
「仁君の家で、お酒を飲みつつ、おすしに卵焼き、その他もろもろ食べてる最中じゃない?」
絶対、私の代役として行っていることを忘れて食べ物を食い荒らしているに違いない。
私が苦しんでいるというのに、低く唸った。