浅葱色の忍
「申し訳ございません!!!
俺が先に名を聞いてしまったので
それで、聞かれたのだと思ったのかと…」


「……聞いたのか」



「……あの、すみません」



「平岡君、烝とどこに行ってたんだい?」



「墓参りです
毎月、行ってるの知ってたんで
泣いてるのかと、心配になりまして…」




そういうことか…



「それで、子の名は?」



「……慶喜様
それは、烝から聞いて下さい!
それと、性別も何も、今まで興味を
お持ちでなかったのに… 
お参りすらしたことがないのに
急にそんなことを尋ねると
あまりいい気は、しないかと」



「興味がないはずないだろう!
急に城で産むと出て行き
死産と知ったのは日がたってからだ」



「ですが… いえ」


「良い!言え!」


「御正室との差があまりにも…
懐妊の喜びというか、儀式もなく
出産後の労いや死産の慰めがなされたとは
思えず…烝は、よく耐えたと思います」



差などつけたつもりはない




「2人に頼みがある!
烝を側室に戻したい!!
力を貸してくれ!!至らぬところは
遠慮なく指摘して欲しい!!」





「慶喜様!!承知しました!」


「尽力いたします!」


















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