イケメン兄の甘い毒にやられてます
3人で夕飯を食べ、それぞれの自室に戻り、その日を終えた。

次の朝、目覚ましで起きた夕陽は、あくびをしながら洗面所へ。顔を洗い、タオルで拭くと、リビングに向かった。

朝陽はまだ、起きていないようだ。

圭吾も、まだ起きていないのか?

…。

リビングのテーブルの上に、置き手紙が一枚。

『10日ほど、学さんと新婚旅行に行ってきます♥』

…し、新婚旅行?!しかも10日?!

何も聞いてないんですけど?!

紙を持つ手が、ワナワナト震えた。

「…おはよ、夕陽…どうした?」
「…圭吾さん、これ、知ってました?」

震えた手で、置き手紙をピラッ見せた夕陽に、顔色ひとつ変えないで圭吾は言った。

「…聞いてたよ。夕陽、知らなかった?」

圭吾の言葉に、何度も頷く夕陽に、クスッと笑った圭吾は夕陽の目の前までやって来ると、優しく頭を撫でた。

「…10日間宜しくね」
「…っ///?!」

イケメンの顔が数センチ先に。夕陽は顔を赤らめた。

「…そんな顔してると襲うけど?」
「…なっ?!」

更に顔を赤くした夕陽が可笑しかったのか、圭吾はクスクスと笑う。

「…朝食どうする?学校だろ?」
「…つ、作りますよ!料理は私の担当なので」

「…そう、…俺の分も頼んでいい?」
「…つ、作りますよ!」

そう言うと、圭吾から逃げるように、リビングから夕陽は飛び出した。

「…可愛いな」

その、圭吾の言葉は、夕陽には届かなかった。
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