black×cherry ☆番外編追加しました
真横に来た黒崎さんにドキドキしながら、竿についたリールを力いっぱい巻いていく。


(うっ・・・、結構、大変・・・!)


思っていたより、リールを巻くのは難しかった。

それでも、手を震わせながら一生懸命巻き続けると、黒崎さんは途中から、一緒にリールを巻いてくれた。

わ、と、添えられた手の感触に胸を何度も跳ね上げる。

するとまもなく、バシャッ!という音を立て、水面から小さな魚が飛び出した。

「わあ・・・っ!」

太陽の光に反射して、動く魚はキラキラ揺れる。

手伝ってもらったけれど、本当に、魚が釣れた。

感動で、糸に釣られたままの魚を嬉しい思いで眺めていると、黒崎さんがふっと笑った。

「・・・すげえじゃん」

とても、優しい顔だった。

褒められたのも、こんな顔を見たのも初めて。

私の胸は、これ以上ないくらい、ドキドキと音を出していた。

「鯵だな。小さいけど。初めてにしては上出来だ」

竿を預けると、黒崎さんは手元まで魚を引き上げた。

見上げると、穏やかな顔と目が合って、私の頬は一気に熱くなってしまった。

「針外すから。ちょっと待ってろ」

そう言って、黒崎さんは小さな鯵を手で握る。

大きな手の隙間から、鯵の口先だけがチラリと見えた。

わずかに見えるしっぽの先は、ピチ、ピチ、と、前後左右に揺れていた。
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