black×cherry ☆番外編追加しました
(・・・)


頬も、頭の中も熱かった。

普段なら、言われたことに「はい」と黙って見ているけれど、気持ちが全く落ち着かず、「あの!」と声を出していた。

「それも、やってみます!!」

「は?・・・動くぞ。難しいと思うけど」

「大丈夫です・・・」

私なりに、黒崎さんにいいところを見せたかったのだと思う。

魚料理は得意だし、魚を触るのは基本的に慣れている。


(とはいえ・・・確かに、生きている魚は苦手かも・・・)


針にかかったまま、ぴちぴちと動く魚を前に、ちょっと腰が引けるけど。

言い出したのは自分だし・・・と、勇気を出して針を持つ。


(緊張する・・・)


そもそもの、黒崎さんとの至近距離。

さっきだって、上から手を握られたけど、自分から触れるのは緊張度合いが違っていた。


(針はしっかり持って、黒崎さんに針があたらないようにして・・・)


そんなことを思いながら、慎重に針を抜いていく。

そして、魚からぐっと針を抜きとると、ほっと一瞬力が抜けて、手を滑らせるように離してしまった。

「っ、痛っ・・・!」

はずみで、針先で指を切ってしまった。

人差し指から、じんわりと血がにじんでいく。
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