black×cherry ☆番外編追加しました
私の涙が落ち着くと、黒崎さんは「悪かったな」と呟いた。

なんのことを言っているのか、私は、聞き返すように黒崎さんの顔を見た。

「最近の貴見のことは、逮捕直前にわかったことも多いから。それまでは、桜葉女子の不審者の件とつながっていなかった。もっと早くにわかってれば、おまえに怖い思いをさせずにすんだんだけど」

その言葉に、私は思いきり首を横に振る。

「そんな・・・あの時、来てくれてよかったです。もっと遅かったらって思うと・・・想像するのも怖いです」

「・・・そうは言ってもな。ケガは?大丈夫なのか」

「え?」

「手、すりむいてるだろ。足も。さっき傷が見えたけど」

言われて私は、スカートから覗く左右の足に目を向けた。

倒れたときについたのだろうか。

ひどい傷ではないけれど、所々、道路にすった跡がある。

手のひらは、自分でもすりむいた自覚があったけど、改めて見ると、その数は思っていたより多かった。

「明日コンサートだろ。手ぇケガしてて弾けるのか」

「あ・・・」


(そうだ・・・彩華ちゃんにも、ケガに気を付けるよう言われていたのに)


また、こんなケガをしてしまった。

バイオリンが弾けないような傷ではないけど、弾いている間、傷みそうな傷だった。

いつも通り、練習通り、弾けるかどうかわからない。

落ち着いていたはずの涙が、再び溢れてきてしまう。
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