black×cherry ☆番外編追加しました
何とも言えぬ、苦い思いが私の中にこみ上げる。

「・・・かっこいい人だね」

黒崎さんの後ろ姿を追いながら、早川先生が呟いた。

相変わらず爽やかな笑顔でいるけれど、淡々とした、冷やかな声。

「年は離れてそうだけど。いかにも男らしいというか。咲良ちゃん、ああいう人が好きなんだ?」

「!」

言い当てられて、ドキッと胸が跳ね上がる。

そんな私の顔を見て、早川先生は軽く笑った。

「気づかないと思ったの?咲良ちゃん、かなりわかりやすいと思うけど」

「あ・・・あの」

「そっちの花束は?今の人にもらったの?」

次々に質問される。

私は咄嗟に、黒崎さんからもらった名刺を花束の後ろにさっと隠した。

「いえ。これは、友達からもらったんです」

「へえ・・・ほんとに?じゃあ、あの人は何も持たずにここに来たんだ」

意味深な口調だった。

早川先生はそのまま続ける。
 
「女の子にコンサート呼ばれて、花束のひとつも持たずに来るなんて。咲良ちゃんは、そんな気の利かない男が好きなの?」

「・・・べ、別に・・・そういうのは」

「来てくれるだけでいいとか、そういう感じ?そんなに好きなんだ?あの人のこと」

柔らかい口調で言うけれど、やはり冷たい雰囲気だった。

先生にとって、この状況をよく思うはずはない。

「ホストといい、今の人といい、咲良ちゃん、あんまり趣味がよくないね」

「え・・・」

「不釣り合いだと思うけどな。はっきり言って、咲良ちゃんには似合わない」

「!」


(・・・そんなこと・・・)


「ない」って言いたかったけれど、似たセリフを何度も言われたことがある。

それにいつも片思い。
< 185 / 318 >

この作品をシェア

pagetop