black×cherry ☆番外編追加しました
「じゃあ、とりあえず大学まで送って行くね」

「はい、お願いします・・・」

おばあさまたちとお別れした後。

早川先生の車に楽譜や楽器を積みこむと、先生は私を大学まで送ってくれた。

二人きりの車内。

気まずく思っていたけれど、先生は、楽しませるようにいろいろ話をしてくれる。

私はあまり、上手に受け答えができないでいるけれど・・・。

「・・・ああ、そうだ。夕飯、相談するか悩んだんだけど。行きつけの店に空きがあったから予約しておいたんだ。イタリアンなんだけど、咲良ちゃん、大丈夫かな」

「はい・・・」


(・・・どこでもいいな・・・)


疲れていたし、思考する力もあまりなかった。

今はただ、先生の提案に頷くだけで精一杯。

そんな私をチラリと見ると、早川先生は苦笑した。

「疲れてるね」


(あっ・・・)


「・・・すみません・・・」

さきほどの返事も上の空でしてしまったし、助手席にぐったりとして座っていた。

送っていただいてるのに失礼だったと、私は座り直して姿勢を正した。

「ああ、いいよいいよ。そういう意味じゃなくて。親もいないし、理事長もいないし。楽にしてて」

「はい・・・」

「・・・『なんでこんなことに』、って、思ってるでしょ」

「!」

「はは、咲良ちゃんて、本当になんでも顔に出るんだね」
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