black×cherry ☆番外編追加しました
「・・・大丈夫か」

その声にはっとなって見上げると、黒崎さんが仁王様のように私のことを見下ろしていた。

私は一気に冷や汗をかき、再び逃げる準備に取り掛かろうとしたけれど。


(痛っ・・・!)


動かすと、膝も足首も痛かった。

地面についた手のひらも、すりむいてヒリヒリしている。

こんなに派手に転んだのは、子どもの頃でも一度もなかったと思う。

「捻ったのか」

「はい・・・。多分」

低い声で尋ねられ、怒られている気分になった。

怖くて身体を縮こめる。

黒崎さんは、私の足もとにしゃがみ込み、呆れたように息をはく。

「こんな靴履いてるからだろ。街中じゃあるまいし」


(や、やっぱり怒られた・・・!)


怖い・・・。黒崎さんはやっぱり怖い。

元々はクルーザーだけの予定だったし、釣り桟橋で走る予定なんて全くなかったんだもの。

それに確かに華奢なサンダルではあるけれど、履き慣れているし、見た目よりも意外と歩きやすいのだ。


(・・・なんて、怖くて主張できないけれど・・・)


「すみません・・・。気をつけます」

とにかくここを離れたい。

波風立てず、黒崎さんから少しでも早く離れたかった。

膝も足首も手のひらだって痛いけど、気合いで立ち上がろうと再び力を入れるけど。


(う・・・)


足首に、さらに強い痛みが走り、結局全然動けない。

涙目になりそうな私に、低い声が問いかけた。

「どっちの足だ」

「・・・捻ったのは、右足です・・・」

黒崎さんの怖さより、今は痛みの方が強かった。

ただ素直になって答えると、黒崎さんは無言で頷き、私のサンダルに手をかけた。
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