black×cherry ☆番外編追加しました
「少し我慢しろ」

そう言うと、サンダルのストラップを慎重な手つきで外していった。

そしてそのまま、ゆっくりと私の足から脱がせていく。


(・・・っ)


少し動かされただけだけど、痛さで顔をゆがめてしまう。

けれど同時にはっとする。

私の足に、黒崎さんが触れている。

そのことに意識が向いた瞬間に、顔がぼぼっと燃え上がる。

「あ、あの・・・!」

「足首に負担かからない方がいいだろ。左も取るから待ってろ」


(ま、待ってろって・・・)


間近で足を見られることも、触れられることも恥ずかしかった。

黒崎さんはなにも感じていないのか、涼しい顔で黙々とサンダルを脱がせてくれていた。

「・・・一人で来たのか」

左のサンダルを脱がしながら、黒崎さんが尋ねてきた。

私はただただ恥ずかしく、そしてさらに申し訳なく、俯いたままで返事した。

「いえ・・・。伯母と来ています。今は、向こうのベンチで電話をしていて・・・」

言いながら、佐和子おばさまのいる方向に目を向けた。

すると、遠いながらおばさまの姿がわかったらしく、黒崎さんは「あの人か」と頷いた。

「・・・確か、羽白総合病院のお嬢様だよな?」

「!?」

突然言い当てられた私は、心臓をドキン!と大きく跳ね上げた。

黒崎さんが私を認識していたことに、なんだか恐怖を感じたからだ。
< 33 / 318 >

この作品をシェア

pagetop