black×cherry ☆番外編追加しました
美術館の中に入ると、すぐに等身大のミカちゃんパネルが来場者を迎えてくれた。

続いて、ミカちゃんのパパとママ、双子の弟たちのパネルもあって、その世界観に私は興奮してしまう。


(わあ・・・。いろいろと懐かしい)


少女時代を思い出し、思わずはしゃぎそうになる。

けれど隣を見上げれば、眉間に深いシワを寄せ、難しい顔をしている黒崎さんのオーラに怯む。

はしゃぎたい気持ちに蓋をして、静かに鑑賞するけれど。


(でも、『話しかけろ』って言われてるから・・・)


黙ったままでもいけないのだった。

深呼吸して気持ちを落ち着かせると、先ほど受けた指示通り、黒崎さんに話しかけることにした。

「か、かわいいですね!」

「・・・よくわからない」


(で、ですよね・・・)


話しかけても、すぐに話しは終わってしまう。

一瞬で心が折れそうになるけれど、付き合ってもらっている手前、がんばらなくてはと私は再びチャレンジをする。

「あ、こ、この子、ミカちゃんのボーイフレンドのマサキくんです!」

「・・・へえ」

「こっちの子は、ミカちゃんの親友でマナミちゃんていうんですよ」

「・・・ふうん・・・」

「・・・」


(興味がない人に、一方的に話しかけるのつらい・・・)


元々、私はおしゃべり上手なわけじゃない。

話しかけろと言われても、うまく会話をつなげなかった。


(黒崎さんも、もう少し興味を示してくれればいいんだけれど・・・)


それは、多分無理な要望。

一ミリたりとも、黒崎さんはミカちゃんに興味をもってなさそうだった。


(この状況はつらいけど・・・約束したし、出るまでは頑張らないと)


ミカちゃんを観るのは楽しい。

黒崎さんといるのは怖い。

二つの感情に揺られながら、ポツリポツリと話題を探し、館内を順に進んで行った。








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