black×cherry ☆番外編追加しました
(そもそも、黒崎さんは私に付き合ってくれただけだし・・・文句のひとつも言いたくなるかな)


考えながら、私は一人分のスペースを開けて黒崎さんの隣に座った。

謝ろうか。お礼を言おうか?

けれど「馬鹿馬鹿」言われてしまった後では、素直な言葉は発せない。

隣合って二人でしばし無言でいると、黒崎さんが、ため息をついて空を見上げた。

「・・・疲れたな・・・・・」

疲労に満ちた横顔だった。

今度はぐっとうな垂れて、私のことを横目で睨む。

「・・・今度は美味い夕飯か。お嬢様はなにがいいんだ」

ぐったりとしながらも、おじさまの命令は覚えていたようだった。

さすがにもう申し訳ない。

私は少し悩んだ後に、これ以上は遠慮することにした。

「いえ、今日はもう十分です。いろいろ付き合っていただいて・・・どうもありがとうございました」

「・・・は?なんだそれ」

「ミカちゃん展を見れただけで満足です。フォンダンショコラも美味しかったし・・・。黒崎さんもお疲れですから、今日はもう帰りましょう。あ、私は、運転手さんにここまで迎えに来てもらうので大丈夫です」

これ以上、この状態の黒崎さんをつき合わせるのは心苦しい。

そんな気持ちで言ったけど。

「てめえ・・・オレを離島に飛ばす気か」

「えっ!」

「ここでおまえを帰したら、確実に離島勤務だろうが」

「い、いえ!私からおじさまに事情をきちんと話しますから・・・」

「馬鹿言うな。高校生の服着せられて、写真撮られて、オレが疲れて帰ったって説明する気か。ある意味離島よりも厳しいぞ・・・」

黒崎さんに睨まれて、私はゴクリと息をのむ。

「も、もっと違う理由で話しますので・・・」

「そんなの通じるか。本部長のことだ。おまえがオレに言わされたって言い出すに決まってんだろ」

「いいから言え」と、黒崎さんは私の方へ身体を向けた。

長い足は、それだけで、予想以上に距離が近づく。


(怖い・・・いろいろ怖い)


多分もう断れない。

私は、どうしようかと悩んだ挙げ句、黒崎さんに夕飯の希望を伝えることにしたのだった。













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