black×cherry ☆番外編追加しました
悠翔さんにとって、私はただの客だった。

頭ではわかっているつもりだけれど、心の奥で、私だけは特別だったと未だ信じたい気持ちもあって、言葉にされるとやっぱり少し傷ついた。

「く、黒崎さんは、女の子と来たりしないんですか」

彼女はいないと言っていたけど。

悔しくて、思わず意地悪を言ってしまった。

「来るわけねえだろ・・・。めんどくさい」

もっと怒られるかと思いきや、どうでもいい、という言い方だった。

「狭いとか暑いとか、雰囲気悪いとか女はうるせえ」


(そ、そっか。私にも、『そうだぞ』って注意をしていたもんね・・・)


実際に言われたことがあるのかな。

離婚した奥さんだろうか・・・などと思っていると、それを感じ取ったのか、黒崎さんは言葉を足した。

「まあ、好きで来る女の客もいるからな。とにかく、こういうとこはオレは一人で来たいだけ」

「そうですか・・・」

きっと、友達や職場の方とも、来たりしないのだろうと思う。

連れてきてもらえた私は、希少なのかもしれなかった。

「はい、おまたせしましたーっ!」

そのタイミングで、店員の男の子がラーメンを運んできてくれた。

濁ったスープに、おいしそうにネギやメンマがのっている。

チャーシューは三枚も。

もくもくとたつ湯気からは、いい香りが漂っていた。
< 96 / 318 >

この作品をシェア

pagetop