婚約指環は手錠の代わり!?
「うん」

沈黙。
しばらくして、再び俯いていた涼太の顔があがった。

「幸せになれよ」

「ありがと。
涼太もね」

「俺は……」

苦笑いの涼太に私の苦笑いで返した。
たったいま、完璧に振った相手に幸せにはないだろう。

「じゃあ」

「ん、じゃあ」

笑って手を振って、仕事に戻っていく。

このあと涼太は仕事ばりばりやって、海瀬課長の叩きだした、社内最高売り上げ記録を塗り替えた。

「いまからでも遅くないぞ?
乗り換えないか?」

独身のまま、私の娘を抱いてへらへら笑ってる涼太を見るのは少し先の話。
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