婚約指環は手錠の代わり!?
「莫迦なのか、君は?」

なんで私はこんなに盛大に、海瀬課長に莫迦にされなきゃいけないんだろう?

「ここから君の家まで、どれくらい距離があると思ってる?
それに深夜の女の独り歩きがどれだけ危険なのか、わかってないのか?」

「……わかってます、けど」

俯くとじわじわと涙があがってきた。
慌てて落ちないように上を向くと、海瀬課長の眼鏡の向こうと目があって、なぜか、少し目元を赤く染めて逸らされた。

「泊まればいいだろ」

「……どこに?」

「ここに」

いやいやいや、泊まれないですよ、海瀬課長のお宅なんか。

「僕がなにかするとでも思っているのか?」

「……いえ」

泊まるイコールなにかを確信してしまうほど、短絡的ではない。
それでも、海瀬課長は男で、しかも独身で、ひとり暮らしで。
警戒してしまうのは仕方ないですよね?
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