婚約指環は手錠の代わり!?
まだ湯船にも浸かってないのに、すでにのぼせてきた……。

 
泡を流し湯船に浸かると、後ろから抱きしめられた。
しかも、耳をはむはむと喰んで、手はさりげなくいたずらしてくる。

「このままベッドに逆戻りしたい」

「海瀬、かちょうっ」

ちゃぽんちゃぽんと身を捩るたびにお湯が音を立てて揺れる。
散々弄ばれ、そして。
浴室を出る頃には完全にのぼせ上がっていた。


「ん」

「……ありがとうございます」

ソファーに座り、ぼーっとなったあたまで差し出されたペットボトルを受け取った。
ふたを開けて一口飲むと、スパークリングウォーターだったみたいで口の中で泡がぱちぱちと弾ける。

「朱璃のバスローブも買わなきゃな」

風呂上がりに着せてくれたバスローブは、私には大きすぎた。
少し、胸がはだけてしまいそうで思わず襟を掻き合わせる。
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