婚約指環は手錠の代わり!?
さっきからちょこちょこと私用のを買わなければとか云っているが、また泊まりにくるのは決まりですか?
私はひとこともまだ、そんなこと云ってないし、これが一晩限りだってこともある。

火照ってる身体にスパーリングウォーターを流し込むと、少しずつ落ち着いていく。
そんな私の髪をブゥォーと海瀬課長がドライヤーで乾かしてくれている。
なんだかそれがすごく心地よくて。
だんだん、眠く……。


「……ん」

目が覚めたら、海瀬課長の膝の上だった。
さらには目の前に差し出されている、マーマレードの載った薄切りのバケット。

「目が覚めたのか」

「……えっと。
はい」

なぜか口の中から柑橘系の味がする。

いったい、なにされた?

「まあいい。
ほら、あーん」
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