婚約指環は手錠の代わり!?
「まあまあだな」

コロッケを一口食べて右の口端だけをあげ、そう云った海瀬課長にがっかりした。
お世辞でもいいから、美味しいと云って欲しかったのに。
きっと、私なんかじゃダメなんだろうな。


 
表向きは普通に過ごしながら、ずっともやもや悩んでた。

海瀬課長にとって私はなんなんだろう。

彼女じゃないのに、いつも傍に置きたがる。

口は悪い癖に、やることは私を喜ばせようとしてるとしか思えない。

でも、反対に私が海瀬課長を喜ばせたくてなにかやったって、絶対に喜んでくれない。

この関係に名前を付けるとしたらなんなんだろう?

考え出すとループしてどんどん深みにはまっていくから、なるべく考えないようにした。

あたまを空っぽにして、求められるときはそれに溺れる。
溺れているときは全部忘れられるし、愛されてるつもりになれる。
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